言語聴覚士の読書ノート

言語、脳、失語症を考える

失語症リハビリの効果にエビデンス

リハビリの効果を客観的に示すのは難しかったのか、これまで言語聴覚士が行う失語症リハビリのエビデンス(科学的根拠)を示す論文は見かけませんでした。


ところが、今年2017年3月にLancet誌に出ていたのです。


脳卒中失語症患者さんへの医療保険でカバー可能な範囲の言語療法の無作為化・非盲検・評価は盲検 対照臨床試験

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/28256356/


内容のは以下の通り。

---------------------------------------

19の施設の158人の脳卒中後の失語症患者の2群に分けた。

2群とも週10時間の個別言語リハビリを最低3週間、研究者により訓練された言語聴覚士が行なった。

コントロール群は、リハビリ開始を3週間遅らせ、時間的ズレによる差異を設定している。

結果は、

訓練直後で言語コミュニケーションが著しく改善した。まだ訓練を受けていない群では変化がなかった。

6ヶ月後両群で同様の改善効果があった。

この結果は、脳卒中の種類、失語症のタイプ、重症度の違いとは関係がなかった。

---------------------------------------

というものです。


私はエビデンスがすべてとは思っていないのですが、やはりデータで示されていると、安心するというのはあります。


ただ、実際の臨床で生かすためには、タイプ毎にどうだったかなど、詳細な分析が欲しいとも思いました。

さらなる研究に期待したいと思います。