言語聴覚士の読書ノート

言語、脳、失語症を考える

2017-01-01から1年間の記事一覧

携帯電話の文字入力困難が失語症状になりうる可能性

私がときどき読んでいるロシア人のブログに言語聴覚士として興味深い記事がありました。http://blog.livedoor.jp/choko_tanya/archives/2047483.htmlその方はロシアと日本で子育てをされてきたそうなのですが、日本の子供の方がロシアよりも文字を覚えるのが…

退院後の失語症者を考えた支援

昨日、日本失語症協議会主催の「失語症理解入門講座」に参加してきました。会費は資料代の実費のみの5百円で、開催側は手弁当で来てくださってたと思うのですが、内容はとても充実していました。実際的でわかりやすく無駄がないすばらしいものでした。言語聴…

言語機能における小脳の役割

今日は小脳の言語機能について書かれたレビュー論文をご紹介したいと思います。2017年のこちらの論文です。https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/28987056/?i=19&from=aphasia------------------------------------------小脳は最近まで運動や視覚と運動の…

外国人アクセント症候群は実在するのか?

今日は日本神経心理学会に参加してきました。横浜市立大学の東山雄一先生らによる、外国人アクセント症候群に関する大変興味深い発表を聞いてきましたので、シェアしたいと思います。ちょっとマニアックですが。外国人アクセント症候群(foreign accent syndr…

失語症改善にはどの課題を重点化したらよいのか

今日は日本の論文をご紹介します。2014年に高次脳機能研究に掲載された東川・波多野によるものです。失語症の言語治療効果に関する因子分析研究https://www.jstage.jst.go.jp/article/hbfr/34/3/34_291/_pdfこの研究では、失語症が回復するメカニズムを調べ…

脳卒中を生きる意味ー病いと障害の社会学

今日は、こちらの本をご紹介したいと思います。『脳卒中を生きる意味ー病いと障害の社会学』https://www.amazon.co.jp/脳卒中を生きる意味―病いと障害の社会学-細田-満和子/dp/4902249227本書は脳卒中により障害を負った27人の方とそのご家族にインタビュー…

失語症リハビリの効果にエビデンス

リハビリの効果を客観的に示すのは難しかったのか、これまで言語聴覚士が行う失語症リハビリのエビデンス(科学的根拠)を示す論文は見かけませんでした。ところが、今年2017年3月にLancet誌に出ていたのです。「脳卒中後失語症患者さんへの医療保険でカバー可…

小鳥の歌からヒトの言葉へ

失語症のリハビリをしていると、その言葉の意味はわかっているのに、言われた通りに繰り返す復唱課題が困難な方に出会います。このような患者さんを見ていると、音が与えられていて、その通りに言うということにどれだけ複雑なプロセスが要求されるかという…

口の動きが語想起の手がかりに

失語症のリハビリでは、絵を見せてその絵に描かれた物の名前を言ってもらう課題をやってもらうことがよくあります。このような課題を「呼称」と言います。呼称課題でなかなか正解が言えないときに、言語聴覚士は、すぐに正解を教えるわけではなく、ヒントを…

言葉と脳と心 ー失語症とは何か

まずご紹介したいのは、こちらの本です。 言葉と脳と心 ー失語症とは何か山鳥重 著 講談社現代新書 https://www.amazon.co.jp/言葉と脳と心-失語症とは何か-講談社現代新書-山鳥-重/dp/4062880857/ref=sr_1_3?s=books&ie=UTF8&qid=1503754571&sr=1-3&keyword…

はじめに

言語聴覚士として失語症の方々のリハビリにかかわっていくと、一口に失語症と言っても、その症状は非常に多彩であることがわかります。 そのような多彩な症状を見ていると、根源的な疑問が湧いてきます。 私たちがたった一言のことばを発するとき、また理解…

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